
集票率の落ち方は自民党の現職67人で最大、名指しされた2市町の「余分な目減り」は7% ── 栃木3区、12年6回の選挙を市町別に全部ほどいた
<a href="https://ai.jfsc.jp/research/tochigi3-yana-jiban/">簗農水相の地盤は「予算カット」の2年前に崩れていた ── 栃木3区、12年6回の選挙を市町別に分析|株式会社日本財務戦略センター</a>文章での出典表記:株式会社日本財務戦略センター「簗農水相の地盤は「予算カット」の2年前に崩れていた ── 栃木3区、12年6回の選挙を市町別に分析」(2026年10月11日) https://ai.jfsc.jp/research/tochigi3-yana-jiban/2026年9月30日、週刊新潮と週刊文春が、簗和生農林水産大臣(自民党・衆院栃木3区)の音声を報じました。5月に大田原市で開かれた自民党支部の懇親会で、那須烏山市と那珂川町の道路予算について「大幅にカットしました」「那須烏山市については前年度の64%減、約3分の1」「那珂川町は54%減」と話し、その要件として首長の行動と「票数」を挙げた、というものです(下野新聞 2026年10月2日の音声の要約)。
2月の衆院選で、簗氏は栃木3区で無所属の渡辺真太朗氏に敗れ、比例代表で復活当選しています。両市町の首長は、その選挙で渡辺氏を支援していました(読売新聞 2026年10月2日)。
発言の是非は、本稿の扱う範囲ではありません。本稿が確かめたのは、発言が前提にしている「票数」のほうです。名指しされた2市町で、簗氏の票は本当に、どれだけ減っていたのか。そしてそれは、いつ起きたのか。
総務省と栃木県選挙管理委員会が公表している市町別の得票を、2012年から2026年までの6回分そろえて並べました。結論を先に書きます。
本稿は、「投票先を決めるのは職業か、所得か、学歴か」(全国1,741市区町村・3回の衆院選)の姉妹編です。前稿の手法を、一つの選挙区の中に当てはめました。
栃木3区は、大田原市・矢板市・那須塩原市・那須烏山市・那須町・那珂川町の6市町からなります。前稿の全国分析でいえば、製造業と農業が厚く、持ち家が多く、大卒が少ない「自民党が強く出る型」の地域です。前稿のモデルで見込まれる自民党の比例得票率は42.0%で、全国の小選挙区の上位3分の1に入ります(前稿の寸評「栃木県第3区」も参照)。
ここから先は、区の中で比べます。2020年国勢調査の値を、3区平均(票数で重み付け)に対する倍率で並べました。
| 3区平均に対する倍率 | 大田原 | 矢板 | 那須塩原 | 那須烏山 | 那須町 | 那珂川 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 製造業の就業者 | 1.08 | 0.99 | 1.00 | 1.10 | 0.65 | 1.10 |
| 農業・林業 | 1.20 | 0.83 | 0.71 | 1.06 | 1.52 | 1.55 |
| 宿泊・飲食サービス | 0.76 | 0.72 | 1.14 | 0.53 | 2.05 | 0.61 |
| 65歳以上の割合 | 0.93 | 1.05 | 0.89 | 1.18 | 1.28 | 1.24 |
| 大卒以上の割合 | 1.03 | 1.00 | 1.11 | 0.75 | 0.91 | 0.64 |
| 持ち家率 | 0.89 | 1.05 | 0.93 | 1.20 | 1.22 | 1.17 |
| 給与所得者1人当たり所得割 | 1.02 | 0.99 | 1.04 | 0.92 | 0.92 | 0.88 |
出典:総務省統計局「令和2年国勢調査」、総務省「市町村税課税状況等の調」(令和7年度)。前稿のデータ(1,741市区町村)から6市町を抜き出して計算
製造業が多いのは区全体の特徴で、那須烏山市と那珂川町(1.10倍)は大田原市(1.08倍)とほとんど変わりません。2市町に共通して目立つのは、大卒が少なく(0.75倍・0.64倍)、所得が低く(0.92倍・0.88倍)、観光の仕事が少ない(0.53倍・0.61倍)ことです。
比べる相手として役に立つのは那須町です。65歳以上の割合・持ち家・自営業の多さは2市町と同じかそれ以上ですが、宿泊・飲食サービスで働く人が区平均の2倍いる、観光の町です。
本記事の内容は、出典リンクつきでご自由に引用いただけます(CC BY 4.0・出典に「株式会社日本財務戦略センター(JFSC)」の名称を明記)。コピー用の引用タグは ページ冒頭の枠 にあります。
| 簗氏の得票率(%) | 2012 | 2014 | 2017 | 2021 | 2024 | 2026 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 大田原市 | 35.4 | 52.8 | 64.4 | 71.4 | 40.6 | 43.5 |
| 矢板市 | 32.3 | 44.7 | 51.3 | 63.2 | 36.0 | 40.4 |
| 那須塩原市 | 34.1 | 46.0 | 56.4 | 67.0 | 37.9 | 43.5 |
| 那須烏山市 | 37.3 | 49.7 | 55.4 | 64.2 | 23.4 | 21.7 |
| 那須町 | 38.2 | 51.1 | 55.6 | 65.7 | 44.6 | 45.2 |
| 那珂川町 | 36.1 | 51.6 | 59.3 | 69.2 | 35.7 | 32.2 |
| 3区計 | 35.1 | 48.7 | 57.8 | 67.4 | 37.4 | 40.6 |
2012年から2021年まで、簗氏の得票率は6市町そろって上がり続けました。2021年の那須烏山市は64.2%で、区内のほかの市町と変わりません。
2024年に、6市町すべてで大きく下がります。区全体では渡辺氏に178票差でかろうじて勝ちました(簗氏45,546票、渡辺氏45,368票)。その中で那須烏山市(23.4%)と那珂川町(35.7%)の落ち方が際立っています。2026年は区全体で40.6%まで戻しましたが、2市町はさらに下がり、敗れました(簗氏53,975票、渡辺氏58,483票)。
| 2026年 | 簗氏 | 渡辺氏 | 差 |
|---|---|---|---|
| 大田原・矢板・那須塩原・那須町 | 48,734 | 45,462 | 簗氏 +3,272 |
| 那須烏山・那珂川 | 5,241 | 13,021 | 渡辺氏 +7,780 |
| 3区計 | 53,975 | 58,483 | 渡辺氏 +4,508 |
2市町で簗氏が大きく負けたのは、住民が自民党そのものから離れたからでしょうか。比例代表の得票で確かめました。
前稿の第3章で使ったモデル(国勢調査など13の変数と比例ブロックで、市区町村ごとの自民党の比例得票率を説明する回帰)で、6市町の「地域の構成から見込まれる自民党の比例得票率」を出し、実績と比べました。
| 比例の自民党:実績 − 見込み(ポイント) | 2021 | 2024 | 2026 |
|---|---|---|---|
| 大田原市 | +3.8 | +2.5 | +4.9 |
| 矢板市 | −1.2 | −2.3 | +1.0 |
| 那須塩原市 | −2.0 | −2.1 | +0.8 |
| 那須烏山市 | −2.1 | −1.0 | +0.1 |
| 那須町 | −1.5 | −2.8 | −1.5 |
| 那珂川町 | −0.9 | −0.4 | +2.5 |
参考:モデルの残差の標準偏差(全国1,741市区町村)は2021年5.4ポイント、2024年4.8ポイント、2026年4.6ポイント
6市町の差は、いずれも±5ポイント以内です(最も大きいのは2026年の大田原市の+4.9ポイント)。名指しされた那須烏山市と那珂川町の2026年の差は、それぞれ+0.1ポイントと+2.5ポイントでした。2026年の那珂川町の比例代表で自民党に入った票は47.6%で、区内で最も高い値です。2市町で「自民党そのものが特に弱くなった」とは言えません。
ただし、比例代表と小選挙区の集計から、「比例では自民党に入れ、小選挙区では簗氏に入れなかった人」を直接数えることはできません。言えるのは、党の比例票に比べて、簗氏の小選挙区の票が少なかったということです。
そこで、集票率(簗氏の小選挙区票 ÷ 自民党の比例票)を市町ごとに並べました。全国289の小選挙区で同じ物差しを使った分析は、前稿の補論にあります。
2021年まで、簗氏の集票率は6市町とも1.6〜1.8でした。自民党の比例票の1.7倍前後を、小選挙区で集めていたことになります。2024年に那須烏山市は0.70、那珂川町は1.03まで下がり、2026年は0.51と0.70になりました。ほかの4市町も、2026年には0.94〜1.06まで下がっています。
この低下を票数に直したのが図4です。
| 期間 | 足りなかった票 | うち2市町の余分な目減り |
|---|---|---|
| 2021→2024 | 20,165 | 2,440(12%) |
| 2024→2026 | 15,243 | −235(−2%) |
| 2021→2026 | 45,434 | 3,041(7%) |
期間ごとの数字は、足し引きしても2021→2026年の値と一致しません。票数に直すとき、それぞれの期間の後の選挙の自民党の比例票を掛けているためです(2026年の比例票は2024年より多いので、同じ集票率の差でも票数は大きくなります)。集票率の差のままで見れば足し算は合い、那須烏山市の余分な低下は2021→2024年が0.48、2024→2026年が−0.08、2021→2026年が0.40です。
2市町に特有の目減りは、2024年に一度起きただけでした。2024年から2026年にかけては、2市町もほかの4市町と同じ幅で下がっています(余分な目減りは −235票で、ほぼゼロ)。
12年を通してみると、「足りなかった票」の93%は、名指しされていない市町を含む区全体で、同じ幅で起きた目減りです。簗氏を応援した首長のいた那須塩原市と那須町でも、集票率は2021年から2026年にかけて0.6〜0.8下がっています。
区全体で同じ幅に起きた目減りは、全国の自民党候補にも同じように起きたものでしょうか。2021→2024年と2024→2026年に分けて、全国の小選挙区と比べました。
比べたのは、同じ人が続けて自民党から立候補した選挙区です。2021→2024年は、2022年の区割り変更の影響を受けず、市区町村が選挙区の境で割れていない区に限りました(67区)。2024→2026年は区割りが同じなので、223区で比べています。
2021→2024年: 67人の集票率の変化の中央値は +8% でした。2024年は自民党の比例票が大きく減り、候補者個人の票のほうが残ったためです(3回の選挙の比例票の動きは前稿の第6章)。簗氏は −31% で、67人の中で最も大きく下がりました。2番目は秋田3区の御法川信英氏(−29%)、3番目は鳥取1区の石破茂氏(−26%)です。
2024年の簗氏は、政治資金収支報告書の不記載の問題で比例代表との重複立候補が認められませんでした(東京新聞 2024年10月29日)。ただし、同じく重複が認められなかった73歳未満の16人の集票率の変化は中央値 +7% で、重複のあった51人(+8%)と差がありません。重複なしの扱いだけでは、−31% は説明できません。
この年、簗氏は公明党の推薦を受けています(下野新聞 2024年10月27日、時事ドットコム)。公明党が離れた影響でもありません。
比例重複の有無・保守系の無所属候補の有無・公明党の票の多さをそろえて比べるため、簗氏を除いた66人で回帰を行い、簗氏の条件での見込みを出しました。見込みは ±0%、95%予測区間は −24%〜+32% で、簗氏の −31% は予測区間の外にあります。条件をそろえた後の順位は、67人中で下から3番目でした。
なお、比べた67人のうち、2024年に保守系の無所属候補が相手にいたのは5人ですが、麻生太郎氏(福岡8区)・棚橋泰文氏(岐阜2区)の集票率はむしろ上がっています。「保守系の無所属が出れば集票率が下がる」とは言えません。
2024→2026年: 223人の中央値は −14% でした。この期間は、公明党の比例票が多い選挙区ほど自民党候補の集票率が大きく下がっています(公明党と立憲民主党が合流して中道改革連合となり、自民党と公明党の選挙協力が終わったためです)。栃木3区は公明党の比例票が自民党の0.43倍と多い区で、その条件から見込まれる低下は −19% でした。簗氏の実績は −22% で、見込みとの差は小さく、全国の自民党候補に共通する変化の範囲です。読売新聞も、2026年の選挙について「前回簗を支援した公明党の票が今回は離反した」と書いています(読売新聞 2026年2月17日)。
まとめると、簗氏の集票率の低下は2つの段階に分かれます。2026年の分は全国の自民党候補と同じ理由で説明できますが、2024年の分は、全国的な変化や比例重複の有無だけでは説明しきれません。 簗氏はこの年も公明党の推薦を受けており、公明党が離れたことによる低下とも見なせません(推薦がどれだけの票をもたらしたかまでは測れていません)。説明しきれない部分は、栃木3区に固有の事情と重なっています。
ここからは、報道された事実だけを時系列で並べます。政治的な関係があったことと、それが票の動きを生んだことは、別の問題です。
2026年に渡辺氏を支援した首長は3人いますが、予算の発言で名指しされたのは、那須烏山市と那珂川町の2市町でした。
この節は、選挙結果の原因を探るためのものではありません。発言で名指しされた2市町が、区の中でどのような位置にあるのかを、地域の統計で示します。
人が出ていく町
| 1980→2020年 | 2010→2020年 | 2050年推計(2020年=100) | 2021〜25年の社会増減(日本人) | |
|---|---|---|---|---|
| 大田原市 | +1.1% | −7.3% | 72.6 | −805人 |
| 矢板市 | −4.8% | −11.8% | 61.8 | −629人 |
| 那須塩原市 | +34.9% | −2.2% | 82.6 | +528人 |
| 那須烏山市 | −25.9% | −14.8% | 52.1 | −798人 |
| 那須町 | −10.7% | −10.5% | 66.3 | +121人 |
| 那珂川町 | −33.0% | −17.5% | 45.9 | −686人 |
出典:総務省統計局「国勢調査 時系列データ」(合併前の町村は現在の市町の範囲に合算)、総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」、国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口(令和5年推計)」
人口が最も多かったのは、那珂川町が1980年、那須烏山市が1985年です。ほかの4市町は1995〜2010年まで増え続けていました。2市町は2014年から2025年まで毎年、転出が転入を上回り、2025年国勢調査では那珂川町の人口減少率(2020年比 −12.2%)が県内で最も大きくなりました。
那須町は2市町より高齢化が進んでいます(65歳以上の割合 40.9%)が、2021〜24年は転入が転出を上回りました。「年をとった町」と「人が出ていく町」は別のものです。
縮む経済、交付税に頼る財政
| 1人当たり課税対象所得(2025年度課税) | 納税義務者数 2010→2025年度 | 市町村民所得 2023年度(2011年度=100) | 財政力指数(2024年度) | 歳入に占める地方交付税(2010〜19年度平均) | |
|---|---|---|---|---|---|
| 大田原市 | 318万円 | +8.9% | 108.8 | 0.64 | 20.6% |
| 矢板市 | 305万円 | −1.8% | 97.2 | 0.64 | 17.8% |
| 那須塩原市 | 331万円 | +16.1% | 112.1 | 0.76 | 11.9% |
| 那須烏山市 | 288万円 | −8.3% | 93.6 | 0.45 | 36.6% |
| 那須町 | 299万円 | +3.9% | 102.8 | 0.68 | 12.6% |
| 那珂川町 | 277万円 | −11.3% | 89.8 | 0.37 | 37.2% |
出典:総務省「市町村税課税状況等の調」、総務省「地方公共団体の主要財政指標一覧」「市町村別決算状況調」、栃木県「とちぎの市町村民経済計算」
2市町は、所得の水準が区内で最も低く、納税義務者の数と市町村民所得の総額の減り方も区内で最も大きい市町です(ほかに減っているのは矢板市だけで、その幅は −1.8%・97.2 にとどまります)。財政力指数も区内で最も低く、歳入の3分の1以上を地方交付税に頼っています。
産業の構成比は、2005年から2020年にかけて、ほかの4市町とほぼ同じ方向に動きました。違うのは規模の縮み方で、就業者数は那須烏山市で −22.5%、那珂川町で −24.9% と、大田原市(−9.9%)や那須塩原市(−6.3%)の2倍以上減っています。2021〜24年に、大きな雇用が一度に失われた出来事は見つかりませんでした。
なお、労働組合の票が反自民に動いたという見方は、数字からは支えられません。民間の労働組合の支援を受ける国民民主党の比例得票率は、2市町が区内で最も低い水準です(2024年 6.2%・5.9%、3区平均 8.4%)。
最後に、報じられた「64%」と、国土交通省が2026年10月6日に公表した精査結果を照らし合わせます。ここは、確認できた事実・行政側の説明・資料から計算できる数字を分けて書きます。
確認できた事実
資料から計算できる数字
| 箇所 | 事業主体 | 2024年度当初 | 2025年度当初 | 2026年度当初 | 前年度比 |
|---|---|---|---|---|---|
| 那須烏山市 | 計 | 390 | 325 | 392 | +20.5% |
| 那須烏山市 | 栃木県 | 250 | 183 | 287 | +56.6% |
| 那須烏山市 | 那須烏山市 | 140 | 142 | 105 | −26.2% |
| 那珂川町 | 計 | 307 | 262 | 319 | +22.0% |
| 那珂川町 | 栃木県 | 252 | 213 | 297 | +39.6% |
| 那珂川町 | 那珂川町 | 55 | 49 | 23 | −54.1% |
国交省の説明では、「64%」は、2月に問い合わせを受けた時点でホームページ等に公表されていた2024・2025年度の事業だけを対象に、2026年度の額を整理した数字です。2026年度に新たに載った3事業を含めると、那須烏山市の事業は26.2%減になります。那珂川町は全事業が含まれており、54.1%減で同じ数字です。県が両市町の区域で行う事業を合わせた地域全体では、どちらも2割増えていました。
行政側の説明
国交省の聞き取りに対し、黒田氏は「はっきりと覚えていないくらいだから、働きかけや圧力を受けたことはなかったと思う」と答えています(朝日新聞 2026年10月6日)。簗氏は10月2日の会見で、国交省に交付金の額を問い合わせ、会合で報告したことは認めたうえで、「行政に働きかけて予算が減ったという事実はない」と述べ、発言は「誤解を招くものだった」としました(読売新聞 2026年10月2日)。その後、発言を撤回して謝罪しています(朝日新聞 2026年10月6日)。
これらは当事者と行政の説明であり、記録が残っていない部分もあります。本稿は、精査によって発言の真偽が確定したとは扱いません。
勝ち負けの予想ではなく、条件ごとの機械的な試算として書きます。
なお、前稿の選挙区の分類(8.6節)では、栃木3区は当選者の所属にしたがって「E 野党が守る区(自民党以外が当選)」に入っています。当選した渡辺氏は自民党籍を持つ無所属で、この分類は機械的な振り分けです。
本稿は、発言の是非や候補者の評価を扱いません。数字から言えるのは、簗氏の地盤が崩れたのは「予算カット」の発言の2年前、2024年の選挙であり、その大部分は名指しされた2市町の外で起きていたということです。
Q. 簗和生氏は2026年の衆院選で、どこで負けたのですか?
栃木3区全体では渡辺真太朗氏に4,508票差で敗れました。大田原市・矢板市・那須塩原市・那須町の4市町では簗氏が3,272票リードしていましたが、那須烏山市と那珂川町の2市町で渡辺氏が7,780票リードしました。
Q. 予算カットの発言で名指しされた2市町で、簗氏の票はどれだけ減ったのですか?
2021年の集票率(小選挙区の票÷自民党の比例票)を基準にした推計では、2021→2026年に区全体で約4万5千票が「足りなかった」計算になります。そのうち、2市町だけで余分に減った分は約3,000票(7%)で、残りの93%は区全体で同じ幅に起きた目減りです。2市町に特有の目減りは2024年に起き、2026年はほぼゼロでした。
Q. 簗氏の得票が落ちたのはいつですか?
2024年の衆院選です。2021→2024年の集票率の低下(−31%)は、同じ人が続けて自民党から立候補し、比べる条件がそろった67区の中で最も大きなものでした。全国的な変化や比例重複の有無だけでは説明しきれず、この年は公明党の推薦も受けていました。2026年の低下(−22%)は、公明党が離れたことによる全国の自民党候補と同じ程度の低下でした。
Q. 那須烏山市と那珂川町で、自民党そのものが弱くなったのですか?
比例代表の自民党の得票率は、地域の構成から見込まれる値どおりでした。2026年の那珂川町の47.6%は区内で最も高い値です。下がったのは、党の比例票に対する簗氏の小選挙区の票の割合です。
Q. 「道路予算64%カット」は事実ですか?
国土交通省の精査結果によると、64%は国の社会資本整備総合交付金(道路)のうち、2月時点で公表されていた一部の事業だけで比べた数字です。2026年度の新規3事業を含めた那須烏山市の事業全体では26.2%減、県の事業を含めた地域全体では20.5%増でした。那珂川町の事業は54.1%減、地域全体では22.0%増です。
Q. 本稿のデータは使えますか?
APPENDIXのCSVは、CC BY 4.0で、本稿へのリンクを条件に自由に使えます。
本稿は公開されている選挙結果と公的統計を機械的に結合・集計したものであり、特定の政党・候補者・地域についての評価や推奨ではありません。
記載した関係はすべて市町単位の集計に基づくもので、個人の投票行動を示すものではありません。報道の内容は各報道機関の記事に基づくもので、発言の是非や候補者の評価を行うものではありません。
集計や記載に誤りがある可能性があります。お気づきの点がありましたら、お問い合わせよりご連絡ください。速やかに確認のうえ対応いたします。
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