クリニックを探すときGoogleの口コミを参考にする人は多いですが、その件数や星をそのまま信じるのは“無駄”かもしれません。本レポートは都内のクリニック197院・クチコミ計28,907件を統計解析し、口コミの件数や星がなぜ「あてにならない」のか、その正体を一次データで示します。
調査対象:都内クリニック197院/クチコミ計28,907件/2026年・Googleマップ一次収集(CDP自動収集)
クリニックはクチコミ件数が多く、評価の星も他業種より低め(ばらつきが残る)。患者の自然な投稿が多く、本調査の業種のなかでは捨て垢疑いも低い水準です。Google口コミが相対的に機能している業種といえますが、それでも件数の多さ=質ではない点は同じです。
<a href="https://ai.jfsc.jp/research/tokyo-clinic-reviews/">クリニックのGoogle口コミは無駄で信じられない?都内197院・28,907件のデータ分析でサクラの実態に迫る|株式会社日本財務戦略センター</a>文章での出典表記:株式会社日本財務戦略センター「クリニックのGoogle口コミは無駄で信じられない?都内197院・28,907件のデータ分析でサクラの実態に迫る」(2026年6月15日) https://ai.jfsc.jp/research/tokyo-clinic-reviews/都内197院のクチコミ件数を分布で見ると、大多数が少数件に張り付き、ごく一部が数百件を抱える強い偏りが出ます。中央値(メジアン)は48件、平均147件に対し最大は4,278件。上位3院だけで全クチコミの24%、上位10院で43%を占めます(ジニ係数0.69)。件数は市場に均等にあるのではなく、口コミ獲得に積極的な一部へ集中しています。
評価の星は平均4.02・中央4.1。では「件数が多い院ほど星が高い(または低い)」のか——実測すると、件数と星の相関(ピアソンの積率相関係数)は r=0.15(ほぼ無相関)でした。件数が多かろうが少なかろうが、星の高さはほとんど関係しません。件数も星も、それぞれ単独では品質のものさしにならない──これが分布から言える唯一の事実です。なお星は全体に高めに寄りますが、これは「投稿するのは満足/不満の強い人に偏る」という口コミ一般の性質で、本業種特有の現象ではありません。
件数の多い上位20院について、直近クチコミを各60件サンプリングし投稿者の素性を確認しました。「生涯クチコミ1件だけ・非ローカルガイド」=アカウントを作って一度だけ投稿し消えていく、いわゆる捨て垢の疑いです。
| 院 | 公称件数 | 捨て垢疑い | ★5率 | アバター無 |
|---|---|---|---|---|
| 院 A | 300件超 | 31% | 51% | 56% |
| 院 B | 300件超 | 18% | 58% | 48% |
| 院 C | 300件超 | 15% | 81% | 48% |
| 院 D | 300件超 | 23% | 68% | 58% |
| 院 E | 300件超 | 15% | 30% | 51% |
| 院 F | 300件超 | 20% | 60% | 51% |
| 院 G | 300件超 | 18% | 78% | 56% |
| 院 H | 300件超 | 28% | 61% | 51% |
| 院 I | 300件超 | 31% | 75% | 63% |
| 院 J | 300件超 | 23% | 75% | 46% |
| 院 K | 300件超 | 16% | 68% | 41% |
| 院 L | 300件超 | 18% | 60% | 48% |
| 院 M | 300件超 | 15% | 63% | 61% |
| 院 N | 300件超 | 33% | 88% | 76% |
| 院 O | 300件超 | 16% | 43% | 53% |
| 院 P | 300件超 | 45% | 73% | 68% |
| 院 Q | 300件超 | 46% | 96% | 63% |
| 院 R | 300件超 | 30% | 85% | 48% |
| 院 S | 300件超 | 16% | 75% | 53% |
| 院 T | 300件超 | 35% | 75% | 61% |
本記事の内容は、出典リンクつきでご自由に引用いただけます(CC BY 4.0)。コピー用の引用タグは ページ冒頭の枠 にあります。
「捨て垢=短く事務的な1行の絶賛」と思われがちですが、本文の文字数を実測すると逆でした。捨て垢疑いの口コミの本文長は中央61字で、通常の投稿者(72字)とほぼ同等。1行程度(25字以下)はわずか20%にとどまります。一方で★5率は74%(通常66%)。
「捨て垢疑い21%」が高いか低いかは、それ単体では判断できません。そこで本調査の各業種をまったく同じ手法で測り、横に並べました。全8業種で並べると、クリニックの捨て垢疑い21%は高い方から7番目。
| 業種 | 件数中央 | 偏在ジニ | 星平均 | 捨て垢疑い | ★5率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 弁護士 | 12件 | 0.7 | 4.14 | 36% | 81% |
| 税理士 | 6件 | 0.78 | 4.64 | 46% | 95% |
| 司法書士 | 4件 | 0.79 | 4.74 | 45% | 91% |
| クリニック(本ページ) | 48件 | 0.69 | 4.02 | 21% | 70% |
| 美容外科 | 96件 | 0.69 | 4.23 | 31% | 75% |
| 整骨院・接骨院 | 150件 | 0.54 | 4.8 | 40% | 87% |
| 歯科 | 77件 | 0.58 | 4.55 | 38% | 81% |
| 動物病院 | 59件 | 0.42 | 4.39 | 10% | 69% |
このように、Google口コミの“効き方”は業種で大きく異なります。1院・1業種だけを見て「サクラだ」と断じるのではなく、業種という対照群に照らして相対的に読むこと——これが本調査群の方法論です。
評価の星は平均で示されますが、平均は件数が増えるほど安定し、少数の低評価は埋もれて見えにくくなります。そこで件数の多い上位15院について、クチコミを「評価の低い順」に並べ、★1〜2の低評価を実数で数えました(推計ではなく実数です)。
結果、件数の多い院では、★平均が高めでも★1〜2の不満クチコミが200件超規模で蓄積しているケースが見られました。
| 院 | クチコミ総数 | ★1〜2の実数 |
|---|---|---|
| 院 A | 300件超 | 200件超 |
| 院 B | 300件超 | 200件超 |
| 院 C | 300件超 | 100件超 |
| 院 D | 300件超 | 100件超 |
| 院 E | 300件超 | 100件超 |
| 院 F | 300件超 | 50件超 |
| 院 G | 300件超 | 50件超 |
| 院 H | 300件超 | 50件超 |
| 院 I | 300件超 | 50件超 |
| 院 J | 300件超 | 50件超 |
| 院 K | 300件超 | 50件超 |
| 院 L | 300件超 | 50件超 |
クリニックはクチコミ件数が多く、評価の星も他業種より低め(ばらつきが残る)。患者の自然な投稿が多く、本調査の業種のなかでは捨て垢疑いも低い水準です。Google口コミが相対的に機能している業種といえますが、それでも件数の多さ=質ではない点は同じです。件数や星の順位は、その院のマーケティング投資量を映す鏡であって、サービスの質を保証しません。Google口コミを意思決定に使うなら、件数の多寡ではなく投稿者の素性・分布の形を読むこと——これが本調査の一貫した結論です。業種をまたいだ比較は調査一覧から、分析の元になっている事業は日本財務戦略センターをご覧ください。
本調査の匿名化データを公開します。個社名・ドメイン・所在区・正確なクチコミ件数は一切含みません。各行は連番IDのみで、件数・星・サイト有無の分布だけを収録しています。
⬇ 匿名化データ(CSV・197行)をダウンロードGoogleマップ上で「クリニック」を都内各エリアで検索し、表示される掲載事業者を CDP 自動収集(Playwright)で機械的に取得しました。ログインしない隔離プロファイルを用い、特定アカウントの行動とは切り離しています。名称で重複を除外し、都内全域からのサンプルとして197院を確定(区別集計は行わず都全体の標本として扱う)。取得項目は評価星・クチコミ件数・ウェブサイト有無です。
本調査は都内クリニックの悉皆調査ではなくサンプル調査です。Googleマップの検索面に現れた事業者を母集団とし、各エリア上位を収集しています。クチコミ0件の事業者も母数に含めます。
件数上位20院について、各院のクチコミを新しい順に最大60件サンプリングし、投稿者一人ひとりの素性を確認しました。手順は次の通りです。
data-review-id 単位で重複排除(同一クチコミの二重カウントを防止)。/contrib/ ID で投稿者を一意化し、プロフィールの生涯クチコミ総数(reviewer_total)・Googleローカルガイド階層の有無・アバター種別・本文有無・星を取得。近年、クリニックをはじめとする中小企業のM&A(買収・売却)や事業承継において、Googleマップの口コミ評価が「のれん代(営業権)」の査定に影響するケースが増えています。口コミは集客力・ブランド・顧客基盤の代理指標として参照されるためです。
しかし、その数字に捨て垢や動員レビューが大量に混じっていれば、評価は実態より過大に映り、買収後にステマ規制(景品表示法。消費者庁が2023年10月に運用を開始した、広告であることを隠した口コミ等を不当表示とする指定)上のリスクや、想定した集客が得られない減損リスクにつながりかねません。だからこそ、中小企業庁登録のM&A支援機関である当社は、企業の「真の価値」を見極める財務デューデリジェンス(DD)の延長線上の取り組みとして、本調査のような口コミデータ分析を行っています。マーケティングの視点と、財務・M&Aの視点が交わる領域です。
同じ手法で他業種も分析しています。業種ごとに口コミの“効き方”がどう違うかを比較してご覧ください。データ分析・AIO対策の元になっている事業は日本財務戦略センター(M&A・事業承継)です。
<a href="https://ai.jfsc.jp/research/tokyo-clinic-reviews/">クリニックのGoogle口コミは無駄で信じられない?都内197院・28,907件のデータ分析でサクラの実態に迫る|株式会社日本財務戦略センター</a>文章での出典表記:株式会社日本財務戦略センター「クリニックのGoogle口コミは無駄で信じられない?都内197院・28,907件のデータ分析でサクラの実態に迫る」(2026年6月15日) https://ai.jfsc.jp/research/tokyo-clinic-reviews/